Mさんは悩んでいた。
都市銀行のシステム部門に在籍していたMさん。
ダイナミックは仕事を経験していたのもの、
ともすると全体像が見えなくなることがあったらしい。
「自分の力」を試したくて、ベンチャー企業に転職。
特定業界向けのソフトウェア会社だった。
その会社で、企画から営業を経験。その後社長に見込まれ経営企画室に。
社長に近い立場だといいこともある。
経営を肌で感じることができるし、Mさんの企画も次々と形になっていく。
でも、社長に近い立場だといやなこともある。
まあオトナの世界を覗いてしまったわけだ。
もう一度自分の力を試したくなった。
誰かの使いになるのはいやになった。
都銀で経験したシステム企画に再度チャレンジしようと決めた。
そんなときに僕のところにMさんは来てくれた。
僕が紹介したのは、長者番付でも常連のカリスマ経営者が率いる企業グループ。
そのグループ会社でCIO候補を探していた。
僕は彼にそのポジションを紹介した。
「面白そうな仕事ですが、僕に務まるのでしょうか」
「彼のようなカリスマには、ただ使われるだけじゃないでしょうか」
「年収が希望より低そうなので、ちょっと考えてしまって・・・」
興味津々だけど、不安。
やりがいがありそうだけど、経済的にも満たされたい。
Mさんは揺れていた。
話す度に結論が変わっていた。
僕は、(彼はきっと断ってくるな)と内心感じていた。
でもそれでいいんじゃないかと思っていた。
揺れてる状況で転職しても、きっと後悔するだろうし
辛いことがあったらたぶん他人のせいにしてしまうだろうし。
僕らができることは、Candidateの判断材料をあくまでも客観的に
提示することであり、彼らがどうすべきかを決めることではないわけで。
それが・・・
ある日会社でぼけーっとしてるところにMさんから電話がかかってきた。
「僕、決めました。あの会社にお世話になります!さっき辞表出しちゃいました」
僕はマジで飲んでたお茶を吹き出すんじゃないかってぐらい、たまげた。
てゆーか、ぶったまげた。
「ほへ?・・・」と、思わず言ってしまった。
その日Mさんは、件のカリスマと面談だった。
彼はそこでカリスマの魅力にすっかり参ってしまい、しかもその場で
CIO候補ではなく、上場責任者に指名されたらしい。
問題の年収についても・・・「現状維持であれば御の字です。とにかくあの会社で
働けることが何よりも素晴らしいことだと感じました!」
まさに即決。
参りました。
カリスマって・・・ いるんだ。