Kさんのことを最初に知ったのは、あるサイトに掲載されていた彼の経歴書を見たときだった。
彼は31歳。
ITサービス会社の法人営業からキャリアをスタートし、その後外資系コンサルティング業界へ。
そして、今は大手ITメーカーで新規事業を担当している。
どの会社でも高い評価を受けていたようだし、実際要職を任されている様子が容易に察せられた。
経歴を見る限り、何の不満もなさそうだ。
しかも、彼のPRコメントには自信たっぷりなコメントが並ぶ。
次に移るとしたら「事業会社の企画部門」とある。
なるほど。彼の次のキャリアとすれば当然かもしれない。
なのに、コメントの最後に「キャリアについてまずは相談したい」と一言書いてある。
(いったい、彼のように恵まれたキャリアを持っていて、
しかもこれだけ自信に満ち溢れている人が、何を相談したいんだろう?・・・)
彼のことが頭から離れなかった。
何かが気になったのかもしれない。
メールを出してみる。
「これだけご活躍の貴職がキャリアについてどんな課題を感じているのか、ぜひお聞かせいただきたい」
と、自分の中に湧いた疑問を率直にぶつけてみた。
返事がもらえるとは思っていなかった。
自分のキャリアに自信がある人は、自分をどれだけ「高く売ってくれるか」が
エージェントを選ぶ基準だと思い込んでいたから。
でも僕はそうしたことを一言も書かなかった。書けなかったという方が正しいかもしれない。
予想に反して、返事は来た。
「企業再生の請負人として次のキャリアを考えたい」とある。
(やっぱり・・・。僕には手ごわい相手だな)と思う。
でも、会ってみたかった。彼の書く文章の間に、何か引っかかるものがあったのかもしれない。
とあるホテルのロビーで落ち合うことにした。
その日、僕の前に姿を見せた彼は・・・